リチウム二次電池は広範囲に使われています。大多数の実用電池には有機電解液が使用され、その特性は電池性能に大きく関係します。電解質の中でのイオン拡散は不可欠な情報です。

磁場勾配 NMR 法は多くの系での拡散現象の測定が行われています。高分子、バイオ、 界面活性剤を含む系、膜、多孔性物質などにおける小さな分子(水、イオン、有機化合物、ガス等)の拡散など広範囲の分野で研究対象になっています。

溶媒に電解質塩を溶解した電解液は、カチオン、アニオン、溶媒から構成されています。 溶媒和、イオン会合とイオン解離などの現象がありますが、系全体としては均一系として考えられます。 即ち、拡散している成分(イオン、溶媒)がそれぞれ単一の自己拡散係数 D を持ち、NMR では測定核種の選定により個別の D を独立に測定できます。D は温度に対して敏感である一方、均一系では測定条件にに依存しない物理定数です。

測定条件の設定は拡散係数の確かさに影響し、信頼性の高い値を得るために注意深い測定が重要です。

 

全固体電池作成のために固体電解質が研究されています。特にLi伝導無機固体電解質のLi拡散の測定では,パラメータに依存したLi拡散現象が観測できます。Li拡散現象はイオン伝導の解析に寄与しますが、現時点ですべての現象が明確に解析ができる段階に至っていないのが現状です。

 

電解質の拡散測定に必要なNMRの基礎知識を追加しました。